2025年4月16日
桜 花見ハイキング
奈良市 佐保川の桜
「佐保川の桜」人気度は奈良県内で3位で、桜のボリュームは半端ない。
奈良県立図書情報館前の歩道橋より北側の眺望:奈良県景観資産の桜並木。
1. 佐保川の桜 花見マップ
佐保川の桜 人気度:奈良県内で3位
佐保川の桜は、江戸時代末期に奈良奉行・川路聖謨(かわじとしあきら)によって植樹されたのが始まりで、「川路桜」とも呼ばれています。樹齢170年を超える古木のほか、御衣黄(ぎょいこう)桜や美しい桜のトンネルも見応えがあります。
現在でも川路の時代に植えられたとされる樹齢170年ほどのソメイヨシノが数本残っており、「川路桜」と呼ばれ地元の人々の手によって保全管理が行われています。
佐保川(さほがわ)
春日山から都の北を通り、東大寺の西で吉城川(よしきがわ)と合流して平城京を南に抜けていきます。奈良市役所付近で南へ転じ、大和郡山市付近で秋篠川と合流して大和川に流れ込みます。流域面積は約129平方キロメートル、流路延長は約19キロメートルです。
■ 近鉄奈良線の「新大宮駅」を起点とした花見マップ。

エリアA:「大宮橋」~「下長慶橋」の桜
佐保川の左岸を「大宮橋」から「下長慶橋」迄行き「大仏鉄道記念公園」を見て右岸を引き返すルート。
特に「下長慶橋~JR佐保川鉄橋」間の桜並木が有名。
エリアB:奈良県図書情報館付近の桜
桜並木が眺望できる佐保川の奈良県図書情報館付近は奈良県景観資産に指定されており、沿道の桜のトンネルを歩くのはもちろん、川辺から眺める、左右を桜並木に囲まれた佐保川も見事です。(人混みを避けてのんびりと桜を楽しみたい人にはこちらのエリアがお勧め。)
■ 近鉄奈良線の「新大宮駅」から近鉄橿原線の「九条」までのフルコース。

エリアC:延々と続く桜並木の光景は圧巻である。
2. 大宮橋から下長慶橋までの佐保川左岸と大仏鉄道記念公園の桜
近鉄奈良線の「新大宮駅」を出て北に向かうと、5分ぐらいで佐保川に架かる「大宮橋」に出る。この橋の手前を右に進むと、いきなり感動の桜並木が始まり、ここから「下長慶橋」まで約1Km続く。

「大宮橋」から、佐保川の上流方面(右側が左岸、左側が右岸)を眺めた桜の様子。正面の”茶色い”ところが見える山が 「若草山」。

「倉城橋」の並びにある「学び橋」から眺める下流方面の桜。

「水辺の楽校」辺りの桜。

JR大和路線の踏切を渡る。

踏切を渡ると桜のトンネルになり、「若草山 奈良駅から1.8 km」との標識がある。

佐保川左岸歌碑。(右)坂上郎女と(左)大伴家持の「初月(みかづき)」の歌碑が並んで立っている。

万葉集 巻6 第993番:作者:坂上郎女:(さかのうえのいらつめ)。
月立ちて ただ三日月の眉根掻き 日長く恋ひし 君に逢へるかも
意味: 新しい月が始まり、三日月のような細い眉を掻きながら、長い間恋しく思っていたあなたにようやくお会いできました。
万葉集 巻6 第994番:作者:大伴家持。
振りさけて若月(みかづき)みれば一目見し 人の眉弾(まよびき)思ほゆるかも
意味: 振り仰いで三日月を見れば、一目見ただけのあの人の美しい眉が思い出されるなぁ。
佐保せせらぎの里付近の様子。飛び石で向こう岸に渡ることができる。
右側には奈良県立大学がある。

枝垂桜も混じって、見事な桜並木が続く。

歌が掲示されている。

巻4 第0525番:作者:大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)。
佐保川の小石踏み渡りぬばたまの黒馬来る夜は年にもあらぬか
意味: 佐保川の小石を踏み渡って闇の中をあなたの黒馬が来る夜は、一年ずっとであってほしいものです。
舟橋緑地公園(佐保川緑地)佐保川と桜並木の案内板。

「下長慶橋」に出る。ここを渡ると正面に【大仏鉄道記念公園】がある。

大仏鉄道記念公園のしだれ桜。

大仏鉄道記念公園:大仏駅の跡地に造られた公園。
大仏鉄道は、関西鉄道株式会社が京都・加茂~奈良駅を結んだ路線で、明治31年~明治40年に機関車を走らせていました。公園に設置されている説明板によると、関西鉄道は「明治三十一年四月、この地の北側法蓮の交番所の南あたりに大仏駅を設置した」とされ、「大仏詣での人達もこの駅で下車し一条通りを通って東大寺に参拝していた」といいます。
大仏鉄道記念公園にある万葉歌碑。
巻3 第300番:作者:長屋王(ながやのおほきみ)。
さほすぎて ならのたむけに おくぬさは いもをめかれず あいみしめとそ
意味: 佐保を通りすぎ寧楽山の峠に手向けとして置く幣は、長旅にはさせないで早く帰って妻にいつも逢えるようにしてくださいと祈ることだ。
大仏鉄道記念公園のしだれ桜3本・・・背が高い。

大仏鉄道遺構めぐり案内図。

ここで、大宮橋の方向にUターンして右岸の道を歩く。
3. 下長慶橋から新二条橋までの佐保川右岸の桜
左の大木が「川路桜」。

川路桜 170年の長寿大桜 古木を守ろう!
この桜の巨木は、今から170年ほど前に植えられたと思われます。江戸末期、当時、奈良奉行として赴任してきた川路聖謨(もとあきら)が「奈良公園、佐保川、平城京跡に数千本の桜の植樹をした」と記されております。
川面に向かって桜の枝が伸びている。
桜の大きな特性「陽樹」として、陽光の当る方向に枝葉が伸びる。故に、上からの陽光と川面からの反射光の当る川面に近付いて行く。

「水辺の楽校」の手前で、川辺に降りて下流を望む。

川辺からの眺望も素晴らしい。

右岸の桜並木もそろそろ終わり-新二条橋手前付近。

新二条橋北詰からの眺め。

ここから右に行き芝辻町を抜ける。
新二条橋から近鉄奈良線を超えてエリアBに迂回する
新二条橋からの佐保川は左岸・右岸とも行き止まりになる。

新二条橋の右岸から佐保川を離れ、芝辻町を抜けて(北部第499号線)大通りに出た後、南下して(北部第500号線)近鉄奈良線の踏切を渡るとすぐに左折する(中部第570号線)と再び佐保川に出る。

この後、佐保川の右岸を南に向かう(中部第571号線)。
4. 大宮町7丁目から奈良県立図書情報館までの右岸の桜
近鉄奈良線の直ぐ南側にある佐保川を渡る歩道橋の上からの桜。

プレイズ奈良新大宮マンションの前にある、歩道橋より南側の様子。

R369の大宮橋を越えて、ノボテル奈良と桜。

三条通にかかる「高橋」は直接渡れないので、三笠中学校前の信号迄行き横断歩道を渡る。振り返れば【NHK奈良】が見える。

奈良市立三笠中学校前にある歩道橋より南側の桜。

奈良市立三笠中学校を過ぎた辺りに佐保川の川辺に降りる階段があり、ここで持参したお弁当を食べる。
昼食場所を、対岸(左岸)から見た河岸段丘とその後ろに見える三笠中学校。

弁当を食べながら頭上に垂れ下がる桜を見上げる。

河岸段丘から見える桜と花筏。

花筏・・・花吹雪の中で昼食。

昼食を終えてもう少し南下する。

奈良県立図書情報館に到着。

奈良県立図書情報館は【月曜日】だったので休館。

5. 奈良県立図書情報館から大宮町までの左岸の桜
桜並木はさらに続くも、奈良県立図書情報館の前にある橋を渡り左岸を引き返す。
奈良県立図書情報館前の歩道橋より北側の桜並木を眺める。
奈良県景観資産に指定されているだけあって、こちらも見事な景観。

奈良市恋の窪1丁目辺りを北に向かう。この辺りの桜も見事だが、道路は舗装されておらず、砂利道になっている。

菜の花が群生している箇所があり、黄色とピンクの共演がみられる。

堤の両サイドから桜がせり出して、見事な景観を演出している。

奈良市立三笠中学校前にある歩道橋より眺める北側の桜。

ノボテル奈良まで帰ってきた。

R369の大宮橋。同じ名前の橋が2つあってよいのか?。

近鉄奈良線の「新大宮駅」南口に帰着。

6. 万葉集に詠まれた佐保川の歌
巻1 第0079番:作者:作者不詳。
意宇の海の河原の千鳥汝が鳴けば我が佐保川の思ほゆらくに
意味: 意宇の海の河原の千鳥よ。お前が鳴けば故郷の佐保川が思い出される。
巻3 第0371番:作者:門部王(かどべのおおきみ)。
大君の御命かしこみにきびにし家を置きこもりくの初瀬の川に船浮けて…….(長歌)
意味: 大君のご命令をかしこんで、馴れ親しんだ家を後に、こもりくの初瀬から流れる川に船を浮かべて私は川を下っていく。
巻3 第0460番:作者:大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)。
栲づのの新羅の国ゆ人言をよしと聞かして…佐保川を朝川渡り….(長歌)
意味: 栲綱の白――新羅の国から、人が住みよいと言うのをお聞きになって、…佐保川を朝渡って、….。
巻4 第0525番:作者:大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)。
佐保川の小石踏み渡りぬばたまの黒馬来る夜は年にもあらぬか
意味: 佐保川の小石を踏み渡って闇の中をあなたの黒馬が来る夜は、一年ずっとであってほしいものです。
巻4 第0526番:作者:大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)。
千鳥鳴く佐保の川瀬のさざれ波やむ時もなし我が恋ふらくは
意味: 千鳥が悲しげに鳴く佐保川の瀬のさざなみのように、止む時もありません。わたしの恋心は。
巻4 第0528番:作者:大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)。
千鳥鳴く佐保の川門の瀬を広み打橋渡す汝が来と思へば
意味: 千鳥の鳴く佐保川の渡りは瀬が広いので、板を打って橋を作っておきます。末長くあなたが来ると思うので。
巻4 第0529番:作者:大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)。
佐保川の岸のつかさの柴な刈りそねありつつも春し来たらば立ち隠るがね
意味: 佐保川の岸の高みの柴は刈らないで。そのままにして春になったら隠れて逢えるように。
巻4 第0715番:作者:大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)。
千鳥鳴く佐保の川門の清き瀬を馬うち渡しいつか通はむ
意味: 千鳥の鳴く佐保川の渡しの清らかな瀬を、馬を渡して、私はいつ通うことだろう。
巻6 第0948番:作者:作者不詳。
ま葛延ふ春日の山はうち靡く春さりゆくと山の上に…千鳥鳴くその佐保川に….(長歌)
意味: 美しい葛の這う春日山は、すべてが靡く春になってゆくと、…千鳥が鳴く佐保川の….。
巻6 第1004: 作者:桉作村主益人(くらづくりのすぐりますひと)。
思ほえず来ましし君を佐保川のかはづ聞かせず帰しつるかも
意味: 思いがけずいらしてくださったあなたなのに、佐保川の日暮に鳴く河蝦も聞かせずにお帰ししてしまったことよ。
巻7 第1123番:作者:作者不詳。
佐保川の 清き川原に鳴く千鳥 かわづと二つ 忘れかねつも
意味: 佐保川の清い河原で鳴いている千鳥、そしてかわづ(かえる)の二つは忘れられないことだ。
巻7 第1124番:作者:作者不詳。
佐保川にさわける千鳥夜くたちて汝が声聞けば寝ねかてなくに
意味: 佐保川で騒ぐ千鳥よ、夜がふけてからお前の声を聞くと寝られないことよ。
巻7 第1251番:作者:作者不詳。
佐保川に鳴くなる千鳥なにしかも川原をしのひいや川上る
意味:佐保川に鳴いている千鳥は、どうして川原を慕ってどんどん川をのぼるのでしょう 。
巻8 第1433番:作者:大伴坂上郎女(おほとものさかのうへのいらつめ)。
うち上る佐保の川原の青柳は今は春へとなりにけるかも
意味: さかのぼって見る佐保の川原の青柳は、もうすっかり春の風情となったことだなあ。
巻8 第1635番:作者:大伴宿禰家持(おほとものすくねやかもち)。
佐保川の水を堰き上げて植ゑし田を〔尼作る〕刈る初飯は独りなるべし〔家持継ぐ〕
意味: 佐保川の水を塞きとめて植えた田を(尼の作)刈って早々と食べるのは私一人のはずです。(家持がついだ)。
巻12 第3010番:作者:作者不詳。
佐保川の川波立たず静けくも君にたぐひて明日さへもがも
意味: 佐保川の川波が立たず静かなように、心静かにあなたと共に明日までもいたいものよ。
巻20 第4478番:作者:桜井王(さくらゐのおほきみ)。
佐保川に凍りわたれる薄ら氷の薄き心を我が思はなくに
意味: 佐保川に凍り広がっている薄い氷のような、薄っぺらな心で思っているのではないのに。
■番外編。
現存する『万葉集』の中には、この和歌と完全に一致するものは確認されていませんが、大伴坂上郎女(おおとものさかのうえのいらつめ)の作とされています。
佐保川の 逢坂山を こえぬ日は 君を見ずして 我(あれ)恋ひにけり
意味:佐保川の近くにある逢坂山を越えない日には、あなたに会えず、恋しく思ってしまう 。
以上。
(2025.04.07)
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